山本駅を北側に出て北東に少し入ると、雰囲気のいいお店が集まるエリアがあります。
一見何もなさそうで少し入るとお店がちらほら。
この感じが山本駅北エリアの魅力であり、界隈には穏やかな時間が流れています。
ご紹介するのは、手仕事から生まれた、雰囲気のある陶器を扱うお店「つむぐ舎」です。
店主の小山さんがこの場所を選んだ理由は、駅前なのに静かで空が広いこと。そして、この界隈のお店との親和性です。
今年の10月でオープン1周年を迎える、まだ新しいお店ですが、同じ並びにある「つばめ軽食店」とも調和し、既にしっかりと地域に馴染んでいる印象です。
小山さんの前職は主婦。小売の経験がない状態での開業でした。
素晴らしい行動力です。
陶芸関係やセレクトショップなどの職歴を経て独立されたのかな、と勝手な想像をしていたので驚きました。
什器や備品のセレクト、商品の買い付けも小山さん自身が行います。
こちらの大きな木のトレーはインドネシアのもの、土もののお皿の雰囲気が引き立ちますね。
店内には産地に出向いて買い付けた陶器が、ところ狭しと並んでいます。
どれも見るほどに奥行きが増し、量産品にはない手仕事ならではの力強さのようなものが伝わってきました。
インスタで見て気になった器は、お店で現物を見ることを強くおすすめします。
現物の存在感は、スマホの画面で見るのとは全く別物なんです。
小山さんのセレクトの軸は"民藝"。
実用品且つ美術品としての鑑賞の対象ともなる工芸に対して、民藝には生活に直結した美しさ、世界観があります。
「つむぐ舎」の現在のラインナップは、九州の作家の作品が中心となっていますが、今後は日本中の産地のものを仕入れたいとのこと。
そして、"民藝"を軸に陶器以外もセレクトの対象となり得るとのことです。
楽しみですね。
こちらのランプシェードも実は陶器なんです。
腐蝕した金属のような見た目と質感は存在感があり、小さいながらも店内環境のアクセントになっています。
このシェード、購入することもできますよ。
壁面の一部は深みのあるブルー、器の色合いとも相性抜群ですね。
そしてご近所の「めぐる八百屋 オガクロ」「つばめ軽食店」も同じく、ブルーの配色がポイントになっているのでした。
示し合わせたわけでもなく、なんという偶然でしょうか。
こちらの壁面にある陶器は、沖縄の作家の作品。
小山さんのおすすめとして、紹介していただきました。
沖縄の土は粘土に砂が混ざっていて、手触りがざらざらしているという特徴があるのだそうです。
そして沖縄らしいおおらかな絵付けで、地域に根差した民藝の魅力も感じられます。
夏という季節柄でしょうか、中でも唐草の鮮やかな藍色に強く惹かれました。
「器を買ってくれた人が、器以上のものを手に入れてほしい」
小山さんはそう言います。
伝統的でありながら今に馴染むデザインの器。
作品そのものが放つ、手仕事や地域色を背景にした存在感に加え、使うほどに表情が変わることも土ものの大きな魅力です。
そして、そんな器を日常に取り入れることは、生活に豊かさをもたらします。
器の先にある器以上の魅力とは、正に"民藝"の魅力だといえるのではないでしょうか。
「つむぐ舎」は8/6から8/31まで長い夏休みに入られました。
お休み明けの9月といえば”食欲の秋”も間近。
食事をより豊かにする器に出会うには、いい時期ですね。
——————————-
店名:つむぐ舎
所在地:〒665-0816 兵庫県宝塚市平井1丁目7-24
HP:https://tsumugusya.com/
instagram:instagram.com/tsumugusya_kurashi
営業:11:00~17:00
定休日:日曜日・月曜日
——————————
記事/写真 RL