関西でお好み焼き屋さんを探すのは簡単なことで、メニューに広島焼きを見つけることもそう難しいことではありません。
でもその広島焼きが”本場もん”を知る人の舌を満足させるのかというと、そうとも限らないようです。IMG_6898
ご紹介するのは安倉南にあるこちらのお店「てんてん」。
”本場もん”を食べたい人たちが探しあてて、遠方からも通うという、広島焼きの専門店です。店主の早瀬さんは広島県三原市のご出身で宝塚に来て30年。
本場の広島焼きが食べられるお店が無いので、ずっと自分でお店をやりたいという思いがありました。そして前職の退職を機に、やはりどうしてもお店をやりたいという思いが強くなり、60歳を過ぎて開業を決意されます。何せ初めての飲食店経営、ノウハウがないため、広島市に本社を置くオタフクソースさんによる開業支援を活用されたとのこと。実に頼もしい助っ人です。

物件探しは2019年の10月からスタート。
物件は絶対に妥協してはいけないとアドバイスを受けました。

その後、何と1週間で今の物件が見つかります。
少し前までは空いていなかった物件とのこと。
まさにこの時が開業を決断すべきタイミングだったのでしょう。

そして開業は2020年の4月と決定しました。
ところがコロナ禍です。
同じタイミングで兵庫県に緊急事態宣言が発出。本当に苦しい時期が続きましたが、営業を続け今に至ります。

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「てんてん」=1010。
オタフクソース本社での研修の際、エレベーターに「10月10日はお好み焼きの日」と書かれたポスターが貼ってあり、しかも10月10日は早瀬さんのバースデー!
これだ!ということで店名が決定しました。
ちなみに、広島では「みっちゃん」のように○○ちゃんという店舗名が多いのだそうです。

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中はこんな感じでカウンターと奥に4人がけのテーブルが1台あります。
多きな鉄板で焼いてもらえるのはお店ならではの魅力ですね。

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もちろんテーブル席にも鉄板が仕込まれています。

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メニューはこちら。
広島焼きといえば ”そば”と思っていましたが、広島では”うどん”もスタンダードとのこと。
ボリュームがほしい時はうどんが良さそうです。
今回は肉・卵・イカ天入りを未体験のうどんバージョンで注文、そしてこれもまた広島ではスタンダードの辛い”赤おこ”にしてもらいました。
ちなみに関西では豚玉のように豚肉を”豚”と呼びますが、広島では”肉”と呼びます。

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さて調理スタート。
目の前で行われる調理をじっくり見られるのは、鉄板料理の醍醐味の一つです。

うどんが手際よくソースで炒められ、”赤おこ”ということで唐辛子も投入。
広島ではこのようにソースで味付けしてほぐすお店もあれば、味付けもほぐすこともなくそのまま乗せるお店もあるそうです。

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薄く広げた生地が焼けてきた頃合いにうどんを乗せます。
こうやって最初にうどんを乗せるのはご出身の三原市のスタイルで、広島市では先にキャベツを乗せるとのこと。地元を知る人からしか聞けない情報です。

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しっかりした厚みの豚バラの下にはイカ天が乗っています。
広島で1番人気のトッピングがこのイカ天とのこと。
こちらも未体験なので楽しみです。

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裏っ側も焼いたら、卵の上に乗っけます。

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ソースの上に辛いソースを回しかけ、糸唐辛子を乗せて完成!

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大きな鉄板の上の熱々のお好み焼きを、テコで切って食べる。家庭ではできないお店ならではの食べ方です。

うどんはちょうど良い下味とボリューム感で、程よくおなかにたまります。
蒸し焼きキャベツのふっくら加減、豚バラの脂の香り、こんがり焼けた卵と生地、そして天かすより味わい深いしんなりとしたイカ天、これらをまとめ上げるオタフクソース。
完璧な調和です。
そして”赤おこ”の辛いソースが絶妙な辛さで、ちょうどいいアクセントになっています。

いや~、おいしいですね。

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ソースが足りないときや味を変えたい時はこちらを。

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最後の3口ほどはマヨネーズを投入。
これまた最高です。

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一品料理のメニューボードに、以前は「コロナに負けるな」というお孫さんからのメッセージが書かれていましたが、コロナ禍が明けた今は折り紙の野菜が貼られています。
こちらの一品料理もお昼から注文OKとのこと。

早瀬さんは現在も何かあればオタフクソースに相談し、時には現地のお好み焼き最新事情も仕入れるなど、本場の広島焼きを提供する意気込みに余念がありません。

いつも関西風ばかりで広島焼きは食べないという方も、一度食べてみることをおすすめします。

多分はまりますよ。

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店名:てんてん
住所:〒665-0823 兵庫県宝塚市安倉南1丁目24−11
電話: 0797-61-8515
営業:11時~14時30分 17時〜20時30分(金・土は21時まで)
定休日:月曜日・火曜日


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記事/写真 RL