ご紹介する「Before Dark」もその一つ。
今年の10月で開業して丸5年を迎える、ハンドメイドのオリジナルレザープロダクツを取扱うお店です。
深みのある青と白のタイル壁に植物。
軒先のテイストはいわゆる”レザークラフト”感を排したナチュラルな雰囲気ですが、停まっている自転車はハード目なデザインですね。
どんな雰囲気のお店なんでしょうか、中が気になります。
店内はこんな感じです。
明るく柔らかい照明、ボリュームをしぼったBGMは静かなポップミュージック。
オーガニックな雰囲気の内装と什器にゆったりと作品が並んでいます。
象徴的なのはこの壁面。
一覧性がありつつも動きと隙間のある陳列は、この壁面をざっと俯瞰するのではなく、一つ一つの作品をじっくり鑑賞する楽しさを与えています。
尚且つ店舗環境のアクセントにもなり、またしっかりと馴染んでもいます。
レザープロダクトのショップというと、どうしてもステレオタイプな男性的イメージを持ってしまいがちですが、こちらのお店は全くそんな印象がありません。
一言でいうならユニセックスなんですが、何というか、もうちょっと違う表現がしたくなります。
レザーの装飾が施されたこちらのカウンターも抜群の存在感。
ともすればハードに寄ってしまう意匠ですがそうはならず、男っぽさもありつつ洗練されていて、お店にも調和しています。
工房でもあるカウンター内で製作をしている方が店主の笠井さんです。
留学先のカナダから帰国後、何か手に職をつけたいと、まずは陶芸を始めましたが肌に合いません。
次にやったのがレザークラフト。これが合いました。
経験を積むため製作ができる会社に勤務し、レザークラフトだけではなく靴や鞄の修理もひたすらこなしにこなす日々。そんな修行時代を経て独立されます。
清荒神参道という場所は、たまたまパートナーと参拝に来た際に「この辺いいんじゃない」という感じで決まったとのこと。
直感というやつですね。
ブランド名の「Before Dark」とは日が沈む前という意味です。
カナダのとある夕日スポットでのこと。
沈みゆく夕日をじっと見つめる人々の影が静かに浮かび上がります。このシンプルな光景のような作品を作りたい、そんな想いがブランドのイメージとなりました。
こんな素敵なコンセプトを聞いたら、作品の見え方も変わるというものです。
お店の内装や商品から感じた繊細さというか、奥行きのようなものも腑に落ちました。
お客さんは女性が多く、また想像していたよりも実店舗の売上が多いのだそうです。
シンプルなものほど、実物を見たときに素材感や存在感にやられるということがあります。
「Before Derk」の作品が実店舗で売れるのもわかるような気がしました。
そして笠井さんの接客が”詳しくて楽しい”こともポイントなんだと思います。
接客で買い物の価値が変わるのもリアル店舗の醍醐味です。
バッグや財布はもちろん、こんな小物も。
このティシュカバーは本来は捨てられるトコ革を活用して作られています。
改めて、壁面の棚をみてみましょう。
それぞれの作品に大きめのPOPがついていますね。
このPOPにはそれぞれの作品のスペックとともに、コンセプトが記されていました。
この巾着型のポーチの商品名は「面影」。
コンセプトはこうあります。
「ふと気が抜けたとき
会いたくなる人がいる
そんな面影を追いかけるように作ったバッグ
優しく穏やかな表情に仕上げました」
いいですね。
お店に訪れた際は、是非このコンセプトを読んでみてください。
作品の見方、感じ方が変わるでしょう。
作品を自分で作って販売するということは、軌道に乗せるまで大変だろうと想像ができます。
実際開業して最初の2年は、オンもオフもなくひたすら作る日々が続きました。
そんな中、だんだんと休むことやインプットする時間の大切さにも気づき、今では仕事と生活にリズムを取り入れるようにしているそうです。
故郷の徳島と宝塚の2拠点生活という話も出ました。
「清荒神は夏暑いから、その時期は徳島かな」
40歳までに自分がやるべきことを成し遂げたいという笠井さん。
そしてそれは達成できそうなのだそうです。
「Before Dark」の次のステージが気になります。
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店名:Before Dark
住所:〒665-0836 兵庫県宝塚市清荒神3丁目1−10
HP:https://before-dark.com/
instagram:instagram.com/beforedark_leather
営業:月〜土曜日10:00~18:00 日曜日14:00〜18:00
定休日:水曜日(臨時休業あり)
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記事/写真 RL