『「宝塚芸術創造都市計画」アーティストが考えるアートなまちづくり』

48日に行われた宝塚市立文化芸術センター開館3周年記念展「オマージュTAKARAZUKA―春 プリマヴェーラ」(会期:202347日~57日)関連企画パートナーズサロン、『「宝塚芸術創造都市計画」アーティストが考えるアートなまちづくり』に行って来ました。
今開催されているこの企画展は、「宝塚をアートの新たな聖地に」という思いを込めて、宝塚へのオマージュ(捧げるもの)を形にして届ける現代アートの祝祭。「花・生命・春」をテーマに、日本全国から招待した若手から中堅、ベテランまでのアーティスト12名の作品で構成されています。
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桜はもう見頃を過ぎていましたが、春の花が咲き誇る花のみちを通り抜け、宝塚市立文化芸術センターに到着。
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ニトリ側の駐輪場横の壁に大きな看板が出ています。
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センター正面入口横の大きな窓ガラスも、展覧会仕様になっています。「ガラスにお絵描き」というイベントで制作された子どもたちによる絵も可愛らしいですね。
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メインガーデンの中にあるガーデンハウスで行われた、パートナー会員限定のパートナーズサロン。新規会員は随時募集中です。パートナー会員になると、有効期間内に開催される宝塚市立文化芸術センター主催の展覧会が何度でも無料で鑑賞できるほか、パートナーズサロンや内覧会などの会員限定のイベントに参加できます。さらに、同センターの庭園でピクニックができるピクニックセットの貸し出し無料や館内Wi-Fi利用が無制限などの特典も。パートナー会員は年会費2,000円で、館内のインフォメーションで随時申し込み受付中です。パートナー会員に申し込むともらえる数量限定のプレゼント(年度ごとに内容が変わります)があるのですが、今年のプレゼントの宝塚市立文化芸術センターロゴ入りのお洒落なスケッチブックを私もいただきました。
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登壇者は左から、宝塚市立文化芸術センター館長の加藤義夫氏と、出品作家として参加した柴田知佳子氏、植松琢麿氏、片山みやび氏。宝塚市近郊で育ったアーティストとして、宝塚のまちをどう見つめてきたかということ、アーティストとして宝塚市に望むこと、アーティストとして宝塚市に貢献したいこと、などをテーマに熱く意見を交換していました。

「宝塚は華やかで煌びやか。子どもの頃から何かしら憧れのようなものを感じていました」と語る西宮市出身の片山みやびさん。「図版や写真を見て作品のことを知っていると思ってしまうが、それではわからないテクスチャーがあります。リアルで感じる迫力を体験してほしい」と、日本の美術教育の課題について語り、実際にアートを経験することで、アートと繋がっていくことを勧めて
いました。
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右がガラスを使った片山さんの作品、「あした見晴るかす」。ツルツルした滑らかなテクスチャーや透明感など、確かに写真とリアルでは全然迫力が違います。

「小学校で宝塚に遠足で行ったが、その時の宝塚というまちの印象はファンタジーなイメージしかない場所」と語る箕面市出身の植松さん。「子どもは美術的なことを日々やっている。そんな子どもが普段やっていることを大人でもやっていいと伝えたい。わからないままでいい、説明はいらない。そのような雰囲気や周りの人の言葉がけが大切だと思う」という植松さんのお話を聞いていると、アートって難しいものではなく、楽しいものなんだと感じました。そんな植松さんは、「アートの思い切った実験ができる場所があったらいいのでは」と、まちへの要望を提案していました。

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植松さんの彫刻のインスタレーション「travelers」は、遊び心いっぱいで、好奇心を掻き立てられる作品ですが、宝塚市立文化芸術センターのインスタグラムの解説によると、VRゴーグルを付けたサルの彫刻による「境界」をテーマにしたインスタレーションで、散らばっているブロックに書かれた単語もすべて「境界」に関する言葉と知り、「深い!哲学的!」と思いました。

「大阪生まれの私にとって、地下鉄と違って窓から緑が見える阪急電車で行く宝塚は、日帰りで行ける非日常でした。ファミリーランドがなくなってショックでしたが、アートセンターという役割を担う文化芸術センターが同じ場所にでき、子どもが遊びマルシェが開催されている場所で、何気なくアートも鑑賞できるようになり嬉しいです」と語る宝塚市在住の柴田さんは、今、宝塚市内で広いアトリエを探しているそうです。柴田さんがアトリエを探す際の条件は、①大きな作品が制作できること②制作と生活の拠点が一緒であること③多少のDIYができること④横のつながりがあること。「宝塚がアーティストという職業が普通にあるまちになれば」と願う柴田さんに、よいアトリエが見つかるといいですね。

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左が柴田さんの作品「Be-Ⅲ」と「Be-Ⅱ」。柴田さんは、大きな作品を制作することを一つのテーマにしています。それは、大きなものを見るときの「わー!」と心揺さぶられる高揚感によって、観る人にアートを楽しんでもらいたいからだそうです。

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「アーティストが住みよいまちになると、自然にまちのことを国際的に発信してくれるようになる」と加藤義館長。アーティストにとって優しいまちになれば、きっと魅力的なまちになりますね。

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加藤館長からはまた、「日本ではヨーロッパなどと比べると、日常的にまちに居るアーティストへのリスペクトが低く、有名なアーティストばかりに吸い寄せられる傾向がある」という話もありました。まちのアーティストは「何をしているのかよくわからない人たち」と思われていることが多いそう。アーティストと市民との接点や出会いの場所が増え、よい方向へ変わっていけばいいですね。

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日本人はアートは好きな方だが、日本の若い人々は忙しすぎるという現実にも注目しました。
リタイアしてからでないと、なかなかアートを楽しむ時間的余裕がないようです。
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アートなまちづくりのための課題として、「アートのマーケットを国内で広げることが重要」と加藤館長は締めくくり、「宝塚がその媒体やきっかけのまちとなれば」と語りました。またそのためにも、今回のパートナーズサロンのような対話を、これからもアーティストと市民の間で続けていきたいとのことでした。宝塚のアートなまちづくり、これからも注目していきたいと思います。

他にも、マツモトヨーコ、川口奈々子、中村眞弥子、小野さおり、藤部恭代、福田良亮、mariane maiko matsuo、荒木由香里、青木恵美子、と豪華なアーティストの手による力作が勢揃いです。
12名のアーティストが「花・生命・春」をテーマにしたグループに分かれ、それぞれの視点から生き生きと春を表現しています。ぜひ会場へ足を運び、写真ではわからない、リアルな大きさ、質感、色合いなどを楽しんでみてはいかがでしょうか。

今回の展覧会では写真撮影だけでなく、SNSでの投稿もOK。「どんどんSNSで投稿やシェアをしてください」と宝塚市立文化芸術センターキュレーターの山口由香さん。宝塚へ捧げられた春らしいオマージュの前に立つと、とっても素敵な写真が撮れそうです。皆で「オマージュTAKARAZUKA」展を思い切り楽しみ、アートのまち宝塚を大いに盛り上げていきましょう。

展覧会名:
宝塚市立文化芸術センター開館3周年記念展「オマージュTAKARAZUKA-春 プリマヴェーラ」
参加アーティスト:マツモトヨーコ、川口奈々子、中村眞弥子、片山みやび、小野さおり、植松琢麿、藤部恭代、福田良亮、mariane maiko matsuo、荒木由香里、柴田知佳子、青木恵美子

期間:2023年4月7日(金)~5月7日(日)
会場:宝塚市立文化芸術センター 2Fメインギャラリー
申込:不要
料金:一般(高校生以上)800円
※中学生以下無料
※障がい者手帳ご提示でご本人さま、付添の方1名まで無料
※2023年度パートナー会員無料
駐車場(有料):12台(1台は障がい者用駐車場)
問い合わせ先:0797-62-6800 (宝塚市立文化芸術センター)

※イベントのお知らせ
5月4日(木・祝)にアーティストトークが開催されます。出品アーティストの川口奈々子氏と藤部恭代氏が登場!自作を前に作品解説を行います。
日時:2023年5月4日(木・祝)
時間:14:00~15:00
場所:宝塚市立文化芸術センター2階メインギャラリー内
事前申込不要、誰でも参加可能。
事前に展覧会入場料(800円)のみが必要です。

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会場名:宝塚市立文化芸術センター メインガーデン内ガーデンハウス
住所:兵庫県宝塚市武庫川町7-64
TEL: 0797-62-6800
開館時間:10:00~18:00
休館日:水曜(祝日は開館)

宝塚市立文化芸術センターWEBサイト
https://takarazuka-arts-center.jp/

宝塚市立文化芸術センターInstagram
https://www.instagram.com/takarazukatac/

宝塚市立文化芸術センターtwitter
https://twitter.com/takarazukaTAC

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記事/写真 :YURIE(BRALIライター)

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