毎年6月頃、阪急電車の駅とある場所で、ツバメ雛(ヒナ)が、巣で育てれている。
写真は阪急電車今津線、逆瀬川駅の様子。
女性小説家の 有川 浩 さんの「阪急電車」の作品、小林駅篇にもしっかりと描写されてる。
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❝ 首を傾けながら改札のほうへ向かうと、ひゅっと小さな燕尾服が構内へ舞い込み、
途中にチュクチュクジージーとうるさいほどの鳥の声が降ってきた。
見上げるとツバメの巣で、雛が山盛りに身を乗り出している。
親はうちの一羽の口に餌を押し込み、また慌ただしく飛び去った。
飛び去ったと思うや今度は逆の方向から同じく喧噪である。振り返るとそこにも巣があった。
見回すと全部で三軒、待っていると次から次へと雛の合唱が始まるほどの頻度で
親たちが舞い込んで来くる。
どの巣にも下に受け台が作ってあった。明らかに素人仕事で改札を入ってすぐの受け台の下には
墨痕鮮やかな張り紙があった。
『今年もやって参りました。お騒がせしますが、巣立ちまで温かく見守ってください』
強ばっていた心がほろりととほどけるような温かい字だ。きっとここの駅員だろう。
ツバメの巣に注意の貼り紙をしているのはよく見かけるが、翔子が見たことのあるのは… ❞
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阪急電車 有川 浩 (著) より抜粋
まさに小説の通りの状況だ。少し違うといえば、貼り紙が印刷になっているところだろうか。
小説発売当時の状況から10年以上の経過が物語っている。
そして、阪急電車の駅では10年以上、ツバメの巣を温かく見守る人々がいるという事だ。
また、見守る人たちは、その光景を見て、心癒やされているのだろう。
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記事/写真:辻本欣史 Yoshifumi Tsujimoto